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身辺警護

SPとボディガードの違い|民間の身辺警護にできること、できないこと

公開 読了 約7分執筆:株式会社OU警備保障

SP(セキュリティポリス)は、警視庁警備部警護課に所属し、要人警護にあたる警察官の呼称です。民間の警備会社や警備員がSPを名乗ることはできず、民間が提供するのは警備業法第2条第1項第4号に定める身辺警備(一般にボディガード・身辺警護)です。この記事では、SPと民間の身辺警護の違い、民間警護員の権限、「元SP」という表記の問題、そして依頼者が確認すべき点を整理します。

SPとは:警視庁警護課の警察官の呼称

SPはSecurity Police(セキュリティポリス)の略で、警視庁警備部警護課に所属し、内閣総理大臣や国賓など要人の警護にあたる警察官を指す呼称です。SPは警察官ですから、警察官職務執行法や刑事訴訟法に基づく権限を持ち、職務として拳銃を携行します。

他の都道府県警察にも要人警護を担う警察官はいますが、「SP」という呼称は一般に警視庁警護課の警察官を指して使われます。いずれも公務員である警察官であり、民間人が依頼して雇うことはできません。

テレビドラマや報道で「SP」という言葉が広く知られたため、「ボディガードを頼みたい」という意味で「SPを雇いたい」と検索する方が多くいます。ただ、法律上はまったく別のものです。

民間のボディガードは「4号警備(身辺警備)」

民間が有償で提供する身辺の警護は、警備業法第2条第1項第4号に定める「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」です。法律上の名称は身辺警備、一般にはボディガードや身辺警護と呼ばれます。

4号警備を行えるのは、都道府県公安委員会の認定を受けた警備業者で、かつ4号区分の指導教育責任者を選任している会社です。警護にあたる警備員は、4号区分の新任教育と現任教育を受けていることが義務付けられています。

OU警備保障は熊本県公安委員会認定 第93000308号を受け、4号(身辺警備)の認定区分で身辺警護を行っています。私たちは法律上の区分に沿って「身辺警護」「警護員」と呼び、SPという呼称は使いません。

権限の違い:民間警護員は一般人と同じ立場

SPと民間の身辺警護の最大の違いは、法的権限です。警備業法第15条は、警備業者と警備員は「この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」と定めています。

つまり、民間の警護員にできることは、法律上は一般の人と同じ範囲です。相手を呼び止めて身分を確認することも、身体を拘束することも、職務として行う権限はありません。警護員が武器を携帯することもできず、携行できるのは公安委員会に届け出た護身用具のみです。

では民間の身辺警護は何をするのか。答えは「準備と警戒」です。事前に会場や動線・退避経路を踏査して計画を立て、当日は身辺に随行して周囲を警戒し、不審な動きを早期に発見して警護対象者を退避誘導し、緊急時は警察へ即時に通報する。危害が起きた後に対抗するのではなく、起きる前に回避することが業務の中心です。

この権限の違いを正しく説明せず、「SPのような対応ができる」と期待させる表現は、依頼者に誤解を与えます。私たちは、できること・できないことを契約前に書面でお伝えしています。

「元SP」「SP在籍」という表記の問題

民間警備会社の広告で「元SP在籍」「SP経験者が警護」といった表記を見ることがあります。経歴そのものが事実かどうかは依頼者には確認できませんし、仮に事実であっても、民間の警備員として警護にあたる以上、権限は他の警護員と同じ一般人の範囲です。

警備業法は、警備業者が業務について「人を欺き、又は人に誤解を与えるような方法で」業務を行うことを禁じています。また、実際より優れていると誤認させる表示は、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。民間警備員が「SP」を自称する表記は、この両面で問題になり得ると私たちは考えています。

私たちは、警護員の個々の部隊名や任務歴を広告に使いません。公表しているのは「自衛隊出身者を含む」という範囲までです。選ぶ基準は経歴の派手さではなく、認定・教育・保険・書面という確認できる事実であるべきだと考えています。

「SPを雇いたい」「SPを依頼したい」と検索した方へ

「SPを雇う」「SPを依頼する」という言葉で探している方が実際に必要としているのは、多くの場合、民間の身辺警護(4号警備)です。株主総会や面談の場での同席、イベントでの出演者随行、ストーカー被害で通勤や引越しに同行してほしい、来日中の幹部に随行してほしい、といった場面です。

これらは公安委員会の認定を受けた警備会社に依頼できます。依頼先を探す際は、「SP」という言葉ではなく「身辺警護」「4号警備」「身辺警備」で検索すると、法律上の区分に沿った会社が見つかります。

一方、要人警護としての警察の警護が必要な事案(脅迫を受けている政治家や公的立場の方など)は、警察に相談してください。民間の身辺警護は警察の警護を置き換えるものではなく、警察への相談と並行して日常の移動や面談の場を支えるものです。

依頼者が確認すべき4つの点

身辺警護を依頼するとき、「元SP」のような肩書きではなく、次の4点を確認してください。これらはすべて、依頼者が自分で確認できる事実です。

  • 公安委員会の認定番号:ホームページや契約書に明記されているか。警備業者は営業所ごとに認定を受け、標識を掲示する義務があります
  • 4号区分の指導教育責任者:2号(交通誘導)の認定だけでは身辺警護はできません。4号区分の指導教育責任者が選任されているかを確認してください
  • 賠償責任保険:万一の事故に備えた保険に加入しているか。補償内容を契約前に説明してもらえるかも確認点です
  • 契約前書面:警備業法第19条に基づき、契約前に業務内容・料金・損害賠償・秘密保持などを書面で説明してもらえるか。これを省く会社は避けてください
あわせて、「できないこと」を明確に説明してくれるかも重要です。調査・交渉・武器の携行・結果の保証は、法律上、民間の身辺警護にはできません。それを「できる」と言う会社には注意が必要です。

よくあるご質問

Q.民間の警備会社がSPを名乗るのは違法ですか?
SPは警視庁警護課の警察官の呼称であり、民間警備員が自称すべきものではありません。警備業法は、人を欺き、または誤解を与えるような方法で業務を行うことを禁じており、実態と異なる優れた印象を与える表示は景品表示法の優良誤認にあたるおそれもあります。私たちは「身辺警護」「警護員」という法律上の区分に沿った呼び方を使っています。
Q.元SPのボディガードなら、警察のような対応ができますか?
できません。民間の警備員として警護にあたる以上、警備業法第15条のとおり、権限は一般の人と同じです。経歴が何であっても、相手の身体を拘束する、武器を携帯するといった対応は業務の範囲外です。民間の身辺警護は、事前の準備と当日の警戒、退避誘導、警察への即時通報で危害を未然に回避する業務です。
Q.ボディガードと身辺警護、身辺警備は同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味です。警備業法上の正式な名称は「身辺警備」(第2条第1項第4号)、一般的な呼び方が「ボディガード」、私たちが実務で使う呼び方が「身辺警護」です。いずれも公安委員会の認定を受けた警備会社が提供する民間の警護業務を指します。
Q.個人でも身辺警護を依頼できますか?
はい。ストーカー・つきまとい・脅迫などで身の危険を感じている個人の方からのご依頼をお受けしています。匿名でご相談いただけます。ただし、身の危険が差し迫っているときは、まず110番へ。警察への相談と並行して、通勤同行や引越し立会いなど日程を決めた警護を行います。

この記事について

株式会社OU警備保障(熊本県公安委員会認定 第93000308号)が、警備業法・公表資料・自社の運用に基づいて執筆しています。料金・制度は変わることがあるため、最新の内容はお問い合わせ時にご確認ください。

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